【豊田市】豊田市美術館にて、企画展「未完の始まり：未来のヴンダーカンマー」が、1月20日より始まりました。

2024年4月に、豊田市美術館のお隣に開館する「豊田市博物館」に向けた 企画展「未完の始まり：未来のヴンダーカンマー」が、豊田市美術館にて始まりました。

かつて、15世紀〜18世紀のヨーロッパに王侯貴族の邸宅に設けられた”驚異の部屋”(ヴンダーカンマー）は、 絵画や彫刻に加え、動物の剥製や植物標本、地図や天球儀、東洋の陶磁器など、世界中からあらゆる美しいもの、珍しいものが集められ、小さいながらも見知らぬ広大な世界を覗き見ることができる、美術館や博物館の『原型』といわれているそうです。

しかし、美術品や博物資料の収集には、力や経済の不均衡や異文化に対する好奇の眼差しといった背景も潜んでいました。本展は近年のグローバル化による世界の加速度的な均質化により、国や地域のアイデンティティーとは何か、伝統はどうなっていくのか、文化の真正生とは何かを、未来に向けて問いかけます。

 

今回の企画展では、5人の作家による映像作品や彫刻、インスタレーションなどの現代美術作品を紹介。

歴史や資料を調査、収集して、現代のテクノロジーを交えながら、時を超えた事物の編み直しの試みをされています。

動物の剥製、貝殻や枝などの個人的な思い出など、発見・収集した素材にネオン管などの日常的な物を組み合わせ、現在の人間と神話、また自然環境との新たな関係を探る『ガブリエル・リコ』

近代以降の伝統のあり方や文化の真正生、国家と結びつくアイデンティティーが考察される『タウス・マハチェヴァ』

「歌を歌い、踊りを踊るから人間なのでは」と内覧会で話す『リウ・チュアン』は、急激に変化する現代中国の姿を表す動画作品を。グローバル経済が世界を画一化していくなか、なお豊かで多様な文化的、民族的な声や音楽が存在することを知らせています。

時空を超えた、人類規模の技術の進展を扱う『田村友一郎』の《TiOS》（2024）

そして、2階展示室に展示される『ヤン・ヴォー』の作品には、花にもたとえられる自身や家族の形、存在を翻弄する強国の存在が、しかし、その”複雑さ”の中にある「美」を噛みしめる作品。

自然環境と人間との関係性。伝統のあり方や、国家と結びつくアイデンティティ。そして、過去から今・未来へと、様々なつながりと可能性を感じさせる企画展。

地域の歴史・文化・産業や自然などをテーマにした ”新しい総合博物館” 「豊田市博物館」が開館する今、改めてミュージアムと社会との関係や、未来の可能性を探ってみてはいかがでしょう？

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